今までの運動というものは これから大きく形を変えていく
ドクター・メンゲレ(Doktor Mengele) ● インターネットだからこそ出せた 河上: このページの基礎はどこにあるんでしょうか。 メンゲレ: 「ナチスによる六百万人虐殺」という戦後共通の認識がありますよね。その<神話>の上に、イスラエルという国家が成り立っているわけです。 河上: ただ、そういう「教科書にない」情報は、裏ではいっている人はいるかもしれないけど、表には出てきません。たまに出てくると「マルコポーロ」みたいにつぶされる。でも、それがネット上だと出てくるんですよね。 メンゲレ: ええ、インターネットにしてよかった。 河上: というか、インターネットでなければ出せなかったんじゃないかと思うんですが。 メンゲレ: それはありますね。インターネットの場合は、最初からそういうものに興味がある人が集中するという傾向があるじゃないですか。ちゃんと輪があって、こういう歴史の話にしても、それが通じる人たちの輪がもうネット上にできていて、そこに加われば受け入れてもらえるわけです。 河上: これが出版だと、スポンサーや金銭の問題だとか、社会的な問題としてのタブーがあると思うんですが、ネットにはその制約はないですよね。 メンゲレ: 実をいいますと、これはわたしの独自な意見というよりも、そもそもカナダのエルンスト・ツンデルがインターネットという手段を使っているのを見習っているんですよ。彼はほかにも衛生放送を使ったりして、新しいメディアを友好利用しているんです。 河上: 実際、ページに載っている情報も、ドクター・メンゲレの独自の情報というわけではないんですね。 メンゲレ: マルコポーロの記事を書いた西岡さんは、IHRの記事などを読んで、面白いと思って自分で書いたわけですね。あれも、最後に参考文献としてIHRの本などを書いておけば、何の問題にもならなかったんです。ユダヤ圧力団体が何かいってきたって、IHRの主張を紹介しただけだといい返せばよかったんです。裁判でも、アメリカではユダヤ側が全敗してますから、何の問題もなかったんですね。ただ、西岡って名前で出したから、ああいう事態になっちゃったんですけど。 ● インターナショナルの視点が日本人には必要だ メンゲレ: ツンデルのサイトは、ハーケンクロイツとか絶対に出さない。ネオナチって見られたくないんですよ。あくまでも歴史修正であって極右ではない、と裁判でも主張しているからなんですね。でも、傍聴人にはネオナチがいっぱいきてる(笑)。 河上: まあ、今まで右だ左だってやってきたわけですけど、そういういい合いをしている時代じゃないですよね。わたしも人権をいうからアカとののしられるけど、軍事サイトも持ってるし(笑)。 メンゲレ: 今は社会そのものがかなり右にシフトしてきてますしね。 河上: そうですね。岡田斗司夫っていうおたく研究家が、右翼・左翼の定義を右翼に聞いたらしいんです。そうしたら、「左翼に反対するのが右翼だ」って。たとえば左翼が安保反対っていったら右翼は安保賛成とか、そういう形で全部できあがってるっていうんですね。でも、そういう形で決められた右・左の二分法では間に合わない時代になってきたと思うんですよ。わたしみたいに人権をいいながら軍備増強を唱えるような奴が出てきて(笑)。 メンゲレ: それは、定義そのものが間違っていたのだから、当然といえば当然です。もともと、世界の流れの一方には、ユダヤ的な均一化、インターナショナル思想があります。それに対して、白人主義などの民族主義が出てきました。だから、片一方にインターナショナルがあり、それを踏まえた上での民族主義、それが本来の右翼というものだと思うんですよ。 河上: 確かに、日本の右翼系の掲示板とかを見ても、視野が国内にしか向いていない人が多いように思います。インターナショナルの部分が見えないんですね。 メンゲレ: そう。それで何が見えないかというと、ユダヤが見えないってことです。 河上: イスラムのテロ財政家といわれるオサマ・ビン・ラディン(3)が97年2月に出したファトゥワ(4)があります。彼が敵だと名指ししているのが、まずユダヤ教徒で、そしてユダヤ人国家イスラエルをバックアップするアメリカ、といい切っています。これはもう、ユダヤ対民族という図式がはっきりしてますね。 メンゲレ: 日本の一般の人は、赤軍派がPLOと結びついたというんで、アラブ・ゲリラは左だと思っているみたいなんですが、それは絶対に違うんです。敵対するものはシオニズム、ユダヤ教なんですね。それが日本人にはわかっていない。 河上: 縄文人が日本人を追い出すようなものですね。 メンゲレ: そもそも日本人は宗教に関しての考えが、国際的に完全に遅れてますよね。というか、理解できていない。宗教戦争というものがあることがわかっていない。ユーゴも宗教戦争だし。北アイルランドはどうですか? 河上: あれはね、ちょっと違うんですよ。 メンゲレ: カトリックとプロテスタントじゃない? 河上: というふうに新聞には書いているんですが、北がプロテスタント、南がカトリックというのは大ウソで、厳密にいうと民族なんですね。アイリッシュの国の北部に、スコット系が入ってきた。それと、あとはイギリスとの関係です。イギリスと一緒になりたいのがユニオニストで、これは王室を認めるからロイヤリスト。逆に、イギリスから独立を目指すのがナショナリストで、王室を認めないから共和主義(リパブリカン)。だから、プロテスタントとカトリックっていうのは関係がないんですね。有名なW・B・イェーツは、ナショナリストだけどプロテストなんです(5)。 メンゲレ: へえ。とすると、宗教はあまり関係ない。 河上: ええ。ある爆弾事件で子供が3人死んだんですが、母親はカトリック、父親はプロテスタント、それでいて一家そろってナショナリストなんです(6)。これは、新聞報道を鵜呑みにしていると何が何だかわからない。 メンゲレ: ああ、なるほどね。プロテスタントとカトリックっていう範疇じゃわからない。 河上: そうなんです。だから、宗教的な対立であるものをそうでないと考え、宗教的でないものを宗教的というマスコミ報道のために、真実が見えなくなっている。 メンゲレ: 宗教戦争といえばインドもパキスタンもそうです。 河上: それはまさに宗教戦争。あと、アフガンとイランは、スンニ派とシーア派ですね。イスラムの中でも、イランとイラクがシーア派で、それ以外がスンニ派。それを考えれば、イラン・イラク戦争も、湾岸戦争もよくわかる。 メンゲレ: そういう構図っていうのは、日本人には全然わかってないですね。 河上: そこに、マスコミの「権威的報道」の害悪があると思います。それを正すといったらいやらしいけど、せめて修正しているというのがインターネットの力じゃないかな。 ● 圧力をかけてつぶすという手法はもはや役に立たない 河上: すでに「民族の監視者」は、世界各国の関連サイトと提携している部分がありますね。 メンゲレ: ただ、大きいのは言語の壁です。諸外国の関連する団体とのネットワークは、もうあります。でも、全部翻訳してから、ということになると、すごく時間がかかってしまうんです。 河上: 下手すると、翻訳集を載せるだけで労力を使い果してしまうところがありますね。もう少し、日本人も英語のところを進んで読みに行けばいいんですが。そうしたら、リンクするだけで、資料を提示することもできる。 メンゲレ: もうちょっとうまく外側に結びつけられたらっていう思いはありますね。 河上: でも、ユダヤ関係に関してのみですが、これはむしろ日本語だから安全という要素もあるんじゃないですか。 メンゲレ: そうですね。でも、しっかりした資料に基づくものならば、アメリカでも存在できるんですよ。ツンデルなんかもつぶされずにいまだにある(7)っていうのは、ユダヤ側が裁判で立証ができないからなんです。ま、ドイツではできないですけどね(笑)。 河上: 朝日がやるもの同じ手法なんですよ。言論じゃなくて圧力なんですね。京都の任侠ページにしても、酒鬼薔薇事件にしても、取材じゃなくて圧力と受け取られかねないことになる。さらにいえば不買運動なんてのも同列ですね。けれども、インターネットは結局、物理的につぶすっていうことができないメディアなんですね。だからこそ、それを使ってやれることがあるんじゃないかと思うんです。 メンゲレ: ユダヤ的なものは勝てない。そして、タブーとされていたものがタブーじゃなくなる。 河上: 今まで大きなプロパガンダが一生懸命隠そうとしてきたものに、検索でブチ当たってしまう。こういうメディアだから、個人の作った小さなデータでも、正当性を持っていれば影響力を持てるんじゃないかと思いますね。 メンゲレ: それどころか迷惑ですよ。あれも強制でしょ。聞きたくない人にまで、だみ声で押しつけている。それより、見たい人が見たい情報を引き出せる図書館の役割だとか、じっくり話し合う討論の場をインターネットが提供できるならば、その方がよっぽど素晴らしいと思います。 ● 空気を作るのにいいメディアかもしれない 河上: 今まで団体にならないと、こういうリヴィジョニズムなんていえなかったと思うんですが、ネット上では個人で出てくる人もいるというのも面白いですね。 メンゲレ: そういう草の根みたいなのが、拡がる可能性を持っている。 河上: そうなんですよね。もし、これが巨大化したときに、だれか統制ができるだろうかっていったら、これはできないんじゃないかと思いますよ。 メンゲレ: スポンサーが要するに関わらない媒体だから、結局圧力のかけようがないってことですよね。強いていえばプロバイダーに。 河上: でもプロバイダーに圧力かけても、例の酒鬼薔薇事件みたいに、あっちでつぶれて今度また出てきてっていう、ものすごいいたちごっこが繰り広げられて、結局つぶされなかったんですよ。これまで「論じること自体がいけないんだ」っていうような圧力があったと思うんです。でも、もうそんなことはできません。 メンゲレ: だから、空気を作るのにいいのかもしれないね。われわれの民族の触覚的に、インターネットっていうのは、かなり重要かもしれない。日本人ていうのは空気に弱いですから。これは、すごく有効な手段です。 ● ホンモノだけが残っていくシビアな世界 メンゲレ: 昔の話ですが、僕は国士舘大学付属高校を受験しようと思ったんです。ところが、担任の先生が「うちの中学からは国士舘大学にはいった例がない」っていうんで、願書を書いてくれなかった。それでしぶしぶ違うところにいったんですけど、今だったら裁判沙汰ですよね。人権問題にもなります。それを当時の日教組がやっていた。 河上: でも、今だったら、そんな事件があったとしたら、それこそその日のうちにネットにアップされてしまいますよ。本人か知人かがパッとアップして、もう掲示板なんかで大騒ぎになると思う。 メンゲレ: それがインターネットのよさなんですよね。しかも、それを学生がやれる。 河上: 若手のパワーはすごいです。中学生、高校生が作っているホームページから、たまに「作ったんで見にきてください」っていうのがあるんですよ。で、まあいいかなと思って見にいくと、もうこちらが恥ずかしくなるくらい、すごくできがいいんですね、どれもこれも。 メンゲレ: 初めからコンピューターの感覚を持ってる。 河上: それもある。で、それだけじゃなくて、何かいいたくてたまらないことがあるんですね、彼ら。大人になってしまうと遠慮する部分があるんですが。 メンゲレ: そういうのは、本当の高校生や中学生の自主性だって感じますね。でも、この間の所沢高校の件(8)。あれは何か胡散臭かった。実際、生徒たちのバックで弁護士なんかが動いたりして。 河上: それはまたインターネットに実態が暴かれてましたけど(笑)、生徒たちにバックがある一方で、高調側にも反対側の団体がついていたという。何だかすっかりイヤになりましたよ。もう、こんなのは自主性でもなんでもない。 メンゲレ: ところが、番組によっては、生徒側に立って公共の電波で放送してしまう。 河上: そこでおかしいぞと思った一般の人たちが、今までは苦情の電話くらいしかリアクションを起こせなかったんですね。ところが、今だったら、リアルタイムでホームページや掲示板に書き込んで、影響力を持たせることができる。 メンゲレ: もっとも、『噂の真相』みたいなものになってしまうのはいやですけどね。 河上: もちろん、ああいうゴシップ的なものを喜んでるだけという要素もあるとは思うんですがね。ただ、『噂の真相』もやっぱり一方的なメディアなんです。 メンゲレ: そういえば「国家社会主義日本労働者党」なんて冗談でやっているページがあったんで、好意的にうちのページを紹介したんですよ。そうしたら、まあこちらは本気でやってますからね、そのふざけたページが慌てたらしくて、いきなりやめてしまいました。 河上: 根性がないですね(笑)。そういう危険なことをふざけ半分でやってるなら消えていく。でも、覚悟があってやってるなら残っていくと思うんですよ。そういう意味で、どんどん淘汰されると思います。 メンゲレ: だから、やっぱり本物には勝てない。ニセモノは淘汰されていきますね。 河上: 骨のあるニセモノだったらいくと思うんですけれどもね。それは、面白いニセモノっていうのは世の中に結構ありまして、ニセ官邸だとか……。 メンゲレ: もっと突っ込んでいっちゃえば、骨のあるニセモノっていったら、ユダヤですよね(9)。ニセモノ中のニセモノだけど、鉄骨のような硬さを保ってる。 河上: そこまで嘘をつくと、すごいですね(笑)。でも、もうニセモノは通用しない。歴史で何が本当だったかっていう論争でも、イデオロギー陣営の宣伝力の戦いはもはや時代遅れで、とにかく証拠をお互い出して証明していくしかないと思うんですよ。インターネットでは、もうみんな客観的に見るようになっていくわけだから。 メンゲレ: そうなんです。だから、「シオン賢者の議定書」(10)みたいな陰謀文書を公開していくというのでもいいけれど、それよりも、突破口として、六百万人虐殺は虚構だという数字をきちんと出す方がインパクトがあると思って、そういう方向性のサイトを作ったんです。 河上: それは、直感的にインターネットの本質を見抜いていたんじゃないかと思いますね(笑)。 10月20日 渋谷 ※以上、河上イチロー著『サイバースペースからの挑戦状』(1998年12月)より転載。 |
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